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2016/08/30

採用を考えるベースとなる「採用学」とは?

「採用学」を確立した経緯

人と会社が出会う採用を科学的に分析することで「採用学」を確立した服部氏が日本企業の採用における全体的な課題について話します。

面接なら面接だけ、試験なら試験だけというように局所的な研究をするだけでは日本の採用を変えることはできないと考え、採用全体を1つのピクチャーと捉える意義、考え方について見ていきます。

わかること

  • ・採用学を立ち上げたきっかけ
  • ・書籍「採用学」を出版にいたった経緯
  • ・採用に対する欧米と日本の違い

今回は横浜国立大学大学院国際社会科学研究院/経営学部  准教授の服部泰宏先生をゲストとしてお招きし、日本で最先端の採用を行っていく上で欠かせない考え方を語っていただきます。
 


杉浦:皆さん、こんにちは。採用学研究所フェロー、モザイクワーク代表の杉浦二郎です。
それでは第1回ということで、私個人としましても大変お世話になっています、横浜国立大学大学院准教授で採用学研究所のリーダーでもございます服部泰宏先生をゲストにお招きをいたしました。服部先生、今日はよろしくお願いいたします。
 
服部:よろしくお願いいたします。
 
【採用学を立ち上げたきっかけ(00:51~)】

杉浦:では、改めて。今回服部先生がこのような『採用学』という本を発行されて、私の周りでも大変話題になっている本でもございますけれども、採用学を立ち上げられたきっかけですね。このあたりを教えていただいてよろしいですか?
 
服部:採用というのは、一言で言いますと、「人と会社との出会いの科学」と、私勝手にフレーズつけているんですけども(笑)。人と会社が出会うことに関して、何か科学的に分析はできないだろうかということなんですよね。科学的というのはいろんな意味合いがあるんですけれども、2つぐらいの意味があって、1つはデータ分析に基づいてちゃんとしたエビデンス(証拠)を出していきましょうということで、もう1つは、それに対してちゃんとしたロジック(理論)をちゃんとつくっていきましょうと。こういうことを目指しているのが採用学なわけですけども。何でこんなことをやり始めたかというと、これ私、2つぐらいの契機がありまして、1つは、研究者としてアメリカの研究者の方々と一緒にいろいろなことをディスカッションする中で、向こうは、もちろん採用だけではないんですけれども、人事に対していろいろな科学が入ってきて、それを現場の皆さんと一緒に議論しながら、現場の実践を進めていっている。それによって科学も進んでいるという、非常によいパートナーシップが築かれている。これを日本でやりたいなというのが、大きな1つの経緯なんですよね。
もう1つは、では何で採用なのかという話なんですけれども、採用というものを真正面からとらえている人が少なかった。全くいないわけではなかったんですが、必ずしも日本では多かったということで、この採用ということと、企業の人と一緒にデータとロジックを導き出していきたいという、この2つが合わさったところが、私の中でいう採用学だったと、そんな形ですよね。
 
【採用を科学的に考えるきっかけ(02:27~)】

杉浦:恐らく私と服部先生がお会いさせていただいたときって、まだ採用学という言葉すらない状況でしたけれども、いつぐらいから、先生の課題感として、採用を変えていかなきゃいけないといいますか、もう少し科学的に前に進めなきゃいけないなと。そう思われたのはいつぐらいからですか?
 
服部:私、横浜国立大学に来て3年が経ったんですけども、ちょうどこの横浜国立大学に来た最初の年ぐらい、2013年ぐらいだったと思うんですけども、あるいはそこから2014年に差し掛かろうかという、そのぐらいの時期に、いろいろ日本企業の採用の時期に関する議論が大きな政府筋だったり、経団連だったり、そういうところで始まっていたときに、何かここで起こるだろうなという感覚を持っていて、それで採用というのは重要だなと感じたというのが1つと、もう1つ、実はかなりパーソナルなところなんですけど、学生を自分たちで持ち出して、ゼミ生たちを社会に送り出すという、こうなったタイミングで、彼らがいろいろ悩みながら、悩むことは成長につながると半分で思いながら、他方でちょっと、本当に必要な悩みと、悩む必要がないところで悩んでいるということがあって、こういうところを少しでもサポートできればいいかなという。それがちょうど2013年か14年にかけての時期だったんですね。
 
【書籍「採用学」をなぜ出版したか(03:32~)】

杉浦:我々も一番最初にお会いさせていただいたときから、何とかやはり日本の採用をもう少しよくしたいねというような思いで一緒に取り組んできたなあという気がするんですけれども、今回著書をまとめられて、恐らくこの3年間の歩みですとか、企業事例ですとか、あと先生の思いみたいなところを含めてまとめられているとは思うんですけれども、簡単で結構ですので、この『採用学』を書籍に残そう、もしくは出版しようと思われた、そのあたりの経緯を教えていただいてよろしいですか?
 
服部:先ほど申し上げましたように、アメリカ――欧米では採用の研究はたくさんあるんですけども、ただ、それを見ていて気づいたのは、結構、私「局地戦」と呼んでいるんですけども、例えば面接の研究者は面接だけをずっと研究していく。テストの研究者は、テストをずっと研究してくると。かと思えば、例えば母集団形成といいますけども、要するに候補者を集める研究者もいるというふうに科学ってどんどん専門化してくると、「タコツボ」とよくいいますけど、狭いところにフォーカスがいってしまうということで、アメリカ人たちもここの落とし穴に陥っていたかなという気がしたんですよね。ただ、日本で考えたときに、じゃ、採用といったときに、面接だけを研究して採用を救うとか変えるって多分難しいだろうなと。問題の1つではあるんでしょうけど、面接を変えたかったら、例えばテストと面接ってどう違うのかと、こういう議論しなきゃいけないでしょうし、もっといえば、では、どういうふうに母集団とか人を集めてくるかという議論と多分連動しなきゃいけないだろうし、何かアメリカの研究者たちが非常に細かく丁寧に、パーツパーツをつくってきたもの、日本では多分1つのピクチャーにしなきゃいけないんじゃないかと、そう感じていて、そう考えたときに、日本なりの採用の研究とではどうなるかと考えると、私は多分それらを全体の図を見せるような、それぞれで多分こんなことがわかっている、それぞれでこんなことがわかっている、こことここはどういう関係があるという、そういうような採用というものを全体として描きたかったというのはあって、それが私があえてまとめ直した1つの理由なんですね。
もう1つは、じゃ、その中で、テイストとして私2つ迷ったところがあって、1つはノウハウ的な本にすると。要するに、こんな面接をしていたらうまくいくよとか、こんなテストやったら、将来の業績の予測ができますよとかという、そういう知見って実はアメリカではなくはないわけですね。なんですけども、これを提供することで、日本の採用がどれだけ変わるかというと、多分面接の内容、これ聞いたらいいよというのは、企業によって大分違うと思うので。アメリカではもしかしたら、それを成立しちゃうのかもしれませんけれども、日本の場合には、やっぱり企業が違えば、当然優秀さの意味合いも違うし、面接の意味合いも重要性も違うので、こういうところで違うだろうなと
もう1つは、ロジックとかエビデンス。さっき言いましたけども、企業の皆さんが実際の面接に何を聞くかということを考えてもらうための考え方だったりとか、ほかの企業ではこういうことを考えてうまくいっていますよという事例紹介だったりとか、考え方のベースになるようなものをちょっと提供できないかなと。結局は後者というか、考え方のベースになるものをまとめたかったという、その2つが私の中のこの本を書いた大きな動機ですよね。
 
【採用に対する欧米と日本との違い(06:31~)】

杉浦:よく、新卒採用が特にそうですけども、日本は独特だというようなお話をいろんな方からいただくことも多いんですけれども、この採用を科学するという考え方でいった場合に、
何か先生の中で、日本ヴァージョンに直さなきゃいけない。要は欧米で科学的な検証が行われているんだけれども、それをどうやらそのまま導入しては難しそうだとお考えになられたということですが、何か特にどういったところを違いといいますか、課題として持っていらっしゃったんでしょうか?
 
服部:欧米のいろんな文献を読んで、それと日本の現状を比較すると、はっきりと気づくことは、向こうの研究というのは、企業がどんな能力が有鬚と考えているかとか、企業にどんな人材が必要かということがある程度もう自明になっている。ここからスタートするんですよね。そうしますと、ではどんな面接デザインすればいいかとか、どんなテストをやっておけば無難かということが議論できるわけですけど、他方で日本のことを見てみると、じゃ、企業がどんな人が欲しいかということ。もちろん、何となく言葉にはしているんですけども、本当に突き詰めていくと、それはどういうことですかというと、結構言葉に詰まってしまうというか、実は企業の皆さんも、本当のところ自社に合う人材ってどういう人なのかということが、実はそこまでクリアにわかっていないのかもしれないなと。ここが大きなスタートポイントの違いかなと思うんですよね。一言で言うなら能力みたいなものとか、あるいは会社に求めるものとか、会社が社員に求めるもの。求職者に求めるものというのが非常に曖昧になっている。ここが大きな違いかなと思いますけど。
 
【日本企業の採用基準が曖昧な理由(08:00~)】

杉浦:この曖昧になる原因として考えられるものは何かございますか?
 
服部:幾つかあると思うんですけど、私、少なくとも2つあって、1つは新卒一括採用という、この採用のあり方ですよね。つまり大学生でなかなか仕事を経験したことがない人たちが会社に入ってくる。そうするとどうしても会社としても、この子らに何を見てあげたら優秀さというものが見れるんだろうかということで、そもそも仕事したことがないということで曖昧になるというのが1つと、あともう1つは、では、仮に何か能力があるとしても、では、その子を将来どこのポジションにつけて、どういうふうにキャリアを歩ませようかという、ここ日本企業、必ずしもクリアにしてとっているわけではないので、どちらかといえば、何となくいろんなところで活躍できそうな、我が社に合いそうな子たちを採って、入ってからいろんな適性を見極めていくという発想で採用していく企業が多いと思うので。そうするとどうしても、○○ができる人材みたいなことを、あんまりスペシフィックにしにくくなる状況があるのかなと思います。少なくともこの2つがあると思いますけどね。
 
杉浦:割とジョブ(仕事)に対してフォーカスする欧米と、日本はどちからといえば企業文化というか風土と。その辺に曖昧さが出てくるというのはありますね。
 
服部大きなところだと思いますね。
 
【動画フルバージョンはこちら】

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横浜国立大学大学院国際社会科学研究院/経営学部
准教授
服部泰宏さん

日本企業における「組織と人の関わり合い」、日本のビジネス界における「知識の普及」に関する研究などに従事。
2013年以降は、人材の採用に関する科学的アプローチである「採用学」の確立に向けた研究・教育活動に従事。
採用学研究所(http://saiyougaku.org/)の代表もつとめる。

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