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2016/08/30

採用を考えるベースとなる「採用学」とは?

採用と入社後のパフォーマンスの相関関係

採用の時に良い成績、良い評価で入社した人が入社後に良いパフォーマンスを発揮できていれば、最適な採用をできていると言えます。

では、入社後のどの時点、いつまでのパフォーマンスを追いかけることが採用と照らし合わせる上で最適なのか。採用のゴールをどこに設定するのか。悩んだ経験のある採用担当者は多いのではないでしょうか。

今回は採用と入社後の相関関係における課題を解決していきます。

わかること

  • ・採用のゴール設定
  • ・日本の面接における問題点
  • ・採用と育成の関係性
  • ・最近の学生の傾向

今回は採用と入社後のパフォーマンスの相関関係について、前回に引き続き服部泰宏先生にお話していただきます。
 


【採用のゴール設定(00:08~)】

杉浦:ちょっと話変わるんですけども、よく選考ものすごくたくさん抱えて、もう何次面接もやったりですとか、いろいろなやっぱり皆さん選考に苦労されていると思うんですけれども、実際、選考と入社後のパフォーマンスみたいなところを見ていったときに、何かそのあたりは、何をもって成功とするのか。そのためにはどうしたらいいのかというところを悩んでいらっしゃる会社さんも多いと思うんですけれども、何か先生の知見から導き出せる部分って何かございますか?
 
服部:私、採用学というものを始めるに当たって、採用のゴールをどこに設定しようかなといろいろ考えたんですね。もちろん究極的には、何十年間後にその子のパフォーマンスを上げて、もちろん社長になると、これが究極かもしれませんけど、これは息が長過ぎて追いかけることができないので、私は基本的には入社の3年ぐらいを念頭に置いて。この3年というものは、幾つかの論拠があって、1つは、幾つかの日本企業で人事データとかいろいろ見させていただくと、大体3年ぐらいすると、個人のパフォーマンスが分岐してくると。できる子はできる、できない子はなかなか伸びないということが1つと、あともう1つは、よく言われる七五三現象じゃないですけど、3年で離職のボリュームゾーンが来るというのも、今いろいろ揺れ動いていますけど、やっぱり圧倒的な堅いセオリーなので、そういう意味では離職とかパフォーマンスという、この2つの大事な指標が3年後には分岐してくるということも。だから一応3年に置いているんですよね。
 
【面接と能力の相関関係(01:37~)】

先ほどからも言っていますように、幾つかの会社でデータ分析なんかをすると、3年後のパフォーマンスと、例えば入ったときのいろいろのテストであったりとか、面接であったりとか、いろいろなものと相関分析とかぶつけてみるんですけど、まあ面白いことに面接というものは相関してこない。要するに、面接で「良かった」 と評価されても、入ったときにも、3年後にも「良かった」子であるかということ、必ずしもここは一致しないということが出てきていて、これはたまたまかなと思って、A社でやって、B社でやって、C社でやっても、大体同じような結果になると。そう考えるとやっぱり、面接って一体何だったんだろうねと。面接で見られている優秀さって、無駄とは言いませんけど、何か基本意図しているものとは違うことを見ちゃっている可能性があるということですよね。
 
【日本の面接における問題点(02:21~)】

杉浦:それは面接のやり方といいますか、アセスメントの部分がよくないのか。そもそもインタビューという仕組み自体にある一定の限界があるのか。どういうふうにお考えですか?
 
服部:両方のケースが当然あると思うんですよね。というのも、例えばアメリカで面接研究している人がいると言いましたけど、ごまんと面接研究ってあるんですけど、ここの中では、面接というものはある程度デザインしっかりとして、質問の項目だったりとか、どんなふうに採点するか。このデザインをしっかりしておけば、将来のパフォーマンスをちゃんと予測するという結果がアメリカでは出ているわけですね。ただ、これは大きな前提があって、どんな能力が必要かということがはっきりとしていて、しかも面接内でしか見れない能力が重要である仕事の場合なんですよね。いわゆるコミュニケーション能力であったりとか、グループディスカッションであれば、集団の中で自分の意見を言うという仕事が必要なケースであれば、パフォーマンスを予測すると。ただ、その面接で見れるものと見れないものが当然でありますので、面接で見れないもに関しても、無理やり面接で見ようとすると。例えば、実は私、論理的思考というのは面接では難しいと思うんですけど、それを面接で見ようとすると、やっぱりそこに無理が生じてくる。だったらうもいっそ論理的な文章――論文書かせちゃった方が早いじゃないかという話もあると思うので、そういう意味では面接が必ずしもだめというわけじゃないんですが、日本企業で皆さんが見ようとしているような論理性とか、主体性とか、誠実性みたいなものというのは、実は面接で見るのは難しいのかな、なんてことは思います。
 
【面接以外の選考方法(03:46~)】

杉浦:一方で、いわゆる選抜選考アセスメントという部分において、面接という手法に頼らないとした場合に、どんなやり方が考えられますか?
 
服部:これもアメリカの研究、意外とここで役に立つんですが、幾つかの手法があって、1つはやっぱり一番端的には、仕事に近い状況をつくって、あるいは仕事そのものをやらせちゃおうという、ワークサンプルという言葉があるんですけど、ワークのサンプルですよね。できるんだったら、これは最高なんですよ。もう営業させるとわかっているんだったら、営業みたいなことを仮想でもいいからやらせたらいいじゃないと。それが難しいので、じゃ、次に何かというと、私は実はペーパーテストってすごく重要だと思っていて、アメリカの研究でも――アメリカの研究ばかりで恐縮ですけど――ペーパーテストというのは、いろんな職種におけるその人の能力というものを結構な確率で予測すると。ただ、これももちろん、ペーパーで見れるものと見れないものがあるので、ここで言っているのは、いわゆる無知、頭みたいなものであったり、論理的思考みたいなものであったりとか、あるいは仕事の興味とか、こういうことに関して、幾つかのものに限定はされてるんですけども、そういう意味で、実は今のところは足切りだったりとか、そういうことに使われているペーパーテストみたいなものというのは、実は案外と優秀さ予測するということありますので、そういう意味では非常に実践に近いようなワークサンプルみたいなものと、一見遠いと思われているような、いわゆるペーパーテストみたいなものとか、こういうものは思った以上に実は優秀さと関係しているよということが、私は日本の企業からの実感でも思いますけどね。
 
【採用と育成の関係性(05:13~)】

杉浦:採用のパワーがなかなかかけられないケースが多分多いと思うんですけども、その場合に、1つの考え方として、もう入社後の育成教育がしっかりしていれば、もう採用なんてそんな、極論ですけど、だれでもいいじゃないという話もあるんですけれども、実はそのあたりはどうですか?
  
服部:なるほど。そういうケースもないことはないのかもしれませんけど、私は今の話というのは、採用と育成の関係性ということに、要するに一言で言うとなると思うんですけど、基本的に採用でやらなきゃいけないことがもしあるとしたら、それは入社後にどうしようもない要因があって、入社後にどうしても変えることができないものがあって、それがその自社によって必要なケースなんですよね。これが例えばですが、よくあるのは、自分の会社が扱っている製品というものがどうも好きにならないというケースであったとき、それを好きになれと言わせても、なかなか難しいわけで、これはいわゆる能力とは違うかもしれませんけど、ある意味でも大事な大事な確認要素だと思っていて、こういうものがあるとき。あるいは例えばですけども、どう考えても数学の論理計算みたいなのができないと、話にならないような仕事だったり、プログラミングで超高度なロジカルみたいなものが必要になったりとか、こういうものが必要になったときには、これ多分育成、どうしようもないので、その場合にはやっぱり採用日で見なければいけないという考え方というのは、基本的に採用で見なきゃいけないものというものが、ちゃんと変わりにくいものと変わらないものと分け上で、変わらないものを採用で見るべきかどうかと問いかけていただいて、そこがもし違うと。うちに必要な能力というのは、全部育成で何とかなる能力なんだという結論が出れば、そっちでGOだと思いますし、ただ、幾つかであっても採用で見なゃいけない、替わらないものがあるんだとしたら、やっぱりそれは採用で見なきゃいけないし、こう考えていけばいいんじゃないかなと思います。
 
杉浦:そのあたりの切り分けをしっかりしていかないと。ある種先天的な部分と後天的な部分を切り分けるということですね。
 
服部:そうですよね。要するにそういうことですね。
 
【最近の学生の考え方(07:08~)】

杉浦:よく学生の皆さんといろいろ話をさせていただくと、特に最近の傾向なんですけれども、結構受けている会社がバラバラなんですよね。ある方は、金融とITとサービスも含めていろいろやっていますですとか、またはその企業規模もバラバラだったり、地方も東京も全然関係なく受けていらっしゃるですとか、ある種何かこう、採用に対して、考えているのかな?と思っちゃうケースがあって、一方でそういう子が、例えば自社を受けるということになると、この子果たして自社にとって志望度が高いのかなと疑わしくなっちゃうケースというのも結構あるい思うんですけども。最近、先生が学生の皆さんと接する中で、彼ら、彼女らはどんなことを抱えているのかというのをぜひ教えていただきたいんですけど。
 
服部:大事な問題ですよね。少し前というか、私が教員になった頃の学生たちと、この今の学生たちでちょっとだけ変化があるような気がしていまして、私が教員になった頃といても、10年ぐらい前じゃないですけど、数年ぐらい前ですけど、その頃というのは、どちらかというと、この業界は絶対いいけど、この業界は絶対嫌だと言った学生がいたとして、その業界というのは、やっぱり私たちから見ても、全く違う業界だったんですよね。例えば「インフラ行きたい」という子たちは、ITというのはほとんど受ける可能性はなかったというふうに、割とわかりやすかった。私たちの目から見ても、ああ、確かにこの業界違うよねという形で業界選択していたんですが、今の子たちは、例えば、これは実際いたんですけど、インフラとITを両方受けます。しかもITもバリバリのベンチャー系のところと、どちらかというと昔からの伝統的なインフラの会社と。こういうケースが出てきて、じゃ、お前何も考えていないのかって一瞬思ったんですけど、ちょっと深掘ってやろうとすると、彼女彼等の中では、自分なりのストーリーなんですけど、一貫して、自分なりにこういうふうに社会に関わりたいとか、実は彼らなりにロジックがあるときがあるんですよね。それが無理なロジックでつなげているという強引なケースもあるんですけども、何人かの学生はそこをうまいことITとインフラを受けるよと、ちゃんと自分を納得させた上で、このITベンチャーとインフラの超大企業を受けるというケースがあるので、私、「それも決して悪い就活ではないというか。そういう意味では、企業の皆さんも志望動機は?」とか、「ほかどんな企業受けているの?」といったときに、全然突拍子もないものが複数出てきた場合に、それは考えていないよねと言う前に、ちょっとその裏にあるロジックというのを聞いていただけると、その彼らの思考というものがわかってくるんじゃないのかなと思いますね。
逆の言い方をすると、例えばうちの会社に明らかに嫌悪感を抱いているというか、あまり好きだなと思っていないなあ、うちの会社に対して、事業とか興味持っていないなあと思う学生がもしいたときには、その根っこにある部分というか、じゃ、この事業を通じて、うちの会社は社会とどう関わっているのかとか、それって働くことにおいてどういう意味を持っているのかという、そういうちょっと1個下の価値観レベルで逆に口説いてみると、意外と彼らからしても、「あ、そうだったんですね」と。仕事とか事業、組織レベルと、価値観というか選択基準というか、このレベルというものの、2つのレベルでコミュニケーションすると、もしかすると通じ合えるところもあるのかななどと思いますね、逆に言うとですけど。
 
杉浦:あまり表面的なところで判断をせずに、やはりその深いところをしっかりとりにいかないと、我々の年代の考え方と、今の若い子たちの考え方って、大分ズレがありますもんね。
 
服部:そうですね。IT1つ、インフラ1つとっても、その言葉の持つニュアンスとか、響きそのものとか、イメージも全く違いますので、我々世代だったらAとBの会社があったら、明らかにBの産業の方がいいよというものでも、彼らからしたら圧倒的にAだったりすることがあり得るわけですので、そこの彼らのロジックにちょっと寄り添うということも必要なのかなと思います。
 
杉浦:40代、50代の人たちからしてみると――私も40代なんですけれども、スマホをもともと持っている世代と、スマホを大人になって知った世代とでは、ITということに対する考え方も、新しいととらえるか、当たり前ととらえるかで全然違いますもんね。なるほど。そういった意味からすると、しっかりとやっぱりそういった背景も理解して、彼ら・彼女らが育った背景をしっかり理解した上で判断していかないと、見誤るというところはありますよね。
 
服部:そのとおりだと思います。
 
【動画フルバージョンはこちら】

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横浜国立大学大学院国際社会科学研究院/経営学部
准教授
服部泰宏さん

日本企業における「組織と人の関わり合い」、日本のビジネス界における「知識の普及」に関する研究などに従事。
2013年以降は、人材の採用に関する科学的アプローチである「採用学」の確立に向けた研究・教育活動に従事。
採用学研究所(http://saiyougaku.org/)の代表もつとめる。

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