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2016/08/30

採用を考えるベースとなる「採用学」とは?

採用で失敗する企業の典型的なパターン

日本の企業が安住しやすい採用のパターンとして大量に人を集めて、その中から選ぶという方法があります。しかし、これが中小・ベンチャー企業において非常に失敗しやすい採用方法となっています。

大量に人を集める採用というのはいわゆる強者(大企業)の戦い方であり、同じ土俵で戦うとどうしても勝てなくなってしまいます。

では中小・ベンチャー企業ではどのような採用行えば自社にとって優秀な人材を採ることができるのか。

今回は大企業に対して中小・ベンチャー企業の採用での課題について解決していきます。

わかること

  • ・採用が上手くいかないケース
  • ・中間を求めてしまう心理
  • ・採用における「優秀さ」とは
  • ・なぜ日本の採用は変わらないのか

自分たちの採用の現状はどうかということを考えながら視聴すると、より具体的な課題が見えてくるのではないかと思います。
 


【採用がうまくいかないケース(00:08~)】

杉浦:今もいろいろご意見いただきましたけれども、一方で苦戦している、なかなかうまくいっていない会社さんは、恐らく感覚値としてはほとんどの会社さんが、特に今年に関しては、うまくいっていないというお話をいただいたりもするんですけれども。敢えて何かメッセージとしてお出しするとしたら、どのあたりがうまくいっていない、もしくは、もちろんマーケットの状況もあるとは思うんですけれども、うまくいっていないケースのある種典型的なパターンはどういったものがありますか?
 
服部:採用において企業が取り得る戦略といいますか、戦術といいますか、こういうのは大きく分けると2つに分けると思っていて、やっぱり強い企業、大企業もやり得ることというものと、あるいはそこじゃないような、ほとんどの企業が、中小企業だったりベンチャーがやるべきことという、多分大きく2つに分かれると思うんです。戦い方は幾つかあると思っていて。大企業では、例えば具体的に名前を出しませんけど、非常に人気ランキングの高いような企業がやれることというのは、大量に人を集めていって、その中で、学歴の高い人も含めて集めて、そこでいろんな試験とか面積をして人を落としていくという、今までずっと企業やってきたやり方は、実は強いものの闘い方というか、杉浦さんもよくおっしゃっていますけどね。強者の闘い方というのは、これはこれで私は1つはあると思うんですよ。ナビサイトを使って、人を集めて、テストをして、面接をしてというのは1つありますと。もう1つ、他方で、多くの企業は、その大企業とまともに打ち合っていると、なかなか難しいので、自社なりの優秀さというか、そういうところがねらわないような、そういうところはえてして学歴の高い、コミュニケーション能力の高い子をねらおうとしたら、そうじゃないような優秀者というのを追いかけなければいけないはずなんですけども。でも、多くの企業はなかなかそこを諦めきれずに、大企業にちょっと落ちてきた子だったりとか、あるいは大企業とまともにぶつかっていったりとか、同じ土俵で戦おうとしているということがあると思うので。私はそういう意味では、この両端にあるようなところなので、どちらかにはっきりと振り切って追求するのは正しいと思うんですけど、うまくいっていない企業の共通点というのは、どっちつかずになっているというか、大企業に戦いを挑んでいるんだけども、でも、そこに落ちた子をねらっているというか。中間で落ちているようなどっちつかずになっている。
これ、かのマイケル・ポーター博士は、経営戦略では一番「スタック・イン・ザ・ミドルStuck in the middle」、中間が一番タチ悪いんだと。AかBかどっちか目指せばいいのに、AとBの真ん中をとろうとするからみんなだめなんだと。真ん中においてスタックするということを言っていて、これ実は人事とか採用でも結構あるかなというか(笑)。どっちかに振り切らずに、何か中途半端に追いかけてしまうのが一番よくないのかなと思いますね。
 
【中間を求めてしまう心理(02:44~)】

杉浦:それは言い換えれば、採用だけに起きていないということを考えると、ある種何か心理的なものなんですかね、その中間に行ってしまうみたいなところは。
 
服部:それはあるのかもしれません。というのも、例えば、非常に私の身近な例で恐縮なのですが、私が例えばゼミの学生を10人採らなければいけないと。そのときに採用学とかを学んで、自分の学生の採用をするときに、僕たちは採用学を学んでいるので、できるだけ10人採るんだったら、10人に近いような人たちを集めてもらって、あまり落とさないようにしようと。それがいい採用だよねというをしっかり定義してやるんですけれども、じゃ、いざ学生からエントリーしてもらえると、先生、たくさん来ましたよねと学生喜び出すんですよね。実は私もそれを聞いていて、嫌な気はしないというか。つまり企業さんというのは、たくさんの人を集めて、そこで落としていくという、このモデルというのは非常にある種、麻薬的なものがあって、魅力的なもので、安心するんですよね。10人採るために100人来てくれた方が、10人採るために15人来るよりも、何かうちの企業というのは人気であるとか、いい人が集まっているという感覚を持ちやすいという誘惑というのがあるので、だからなかなか変わりにくいというか。スタック・イン・ザ・ミドルに陥りやすいのはそこなのかなと思います。
 
杉浦:そう考えると、お話の最初の方に結構戻っていくのかなという気もしていまして、いわゆる自社にとってどういう人が必要なのかですとか、自分たちにとって何が必要なのかという定義があまりにも曖昧だと、比較対象の中で見ていってしまうと。AさんよりもBさんの方がよく見える、BさんよりもCさんの方がよく見える。だんだんだんだんとたくさん集めて、とにかくいい人採ろうという流れになっちゃうみたいなところがあるんですね。そう考えると、いかに自分たちが必要な人材を定義できるか。それが自社なりのというところがどれだけ割り出せるかということと、それをちゃんと経営とにぎって、さらにそれを経営に全部任せるわけではなくて、経営からちゃんと自分たちの権利として、採用する権限としてしっかり任せてもらって、いかに動きやすい環境を自分たちでつくれるか。それを社内でちゃんとプレゼンスを高めるか。このあたりが1つ、成功の鍵かなという気はします。
 
服部:そうですね、おっしゃるとおりだと思います。
 
【採用における優秀さ(04:52~)】

杉浦:そういう意味では、この本の主要なメッセージの1つでもあるんですけど、採用における優秀さというのは、一方で何か目の前にいろんな学生がいて、誰が優秀かわからないから、面接をしたりとかテストをしたりして、優秀さを探り出すというか、図るという側面で採用はあるわけですけど、他方で、自社がやっている採用が優秀さを決めているという逆の側面もあると思うんですよね。要するに、大量に集めて、学歴が高い、コミュニケーション能力がある人を集めましょうという、採用をしているから、そういう人が優秀になるだけであって、自社なりの優秀さという場合、本当に優秀な人とはどういう人だったんだっけねと、とことん考えていけば、違う人が優秀になる可能性も十分あり得るわけなんですよね。ですから、企業の皆さん、大企業にいい人行っちゃうんですとおっしゃるんですけど、この「いい人」って、大企業が欲しい「いい人」だったのですかと。御社に合う人って、本当にこの○○銀行と○○商社と一緒ですかということを考えると、実は違う解が結構あり得るんじゃないのかなと思います。それが日本の採用の面白さだと思うんですよね。
 
杉浦:優秀という言葉が非常に曖昧ですよね。そういうことになりますよね。言い換えればうまく行っていないというのは、もしかしたらそのあたりの定義が曖昧で、割と一般的な見方をしてしまって、フローも一般的で、結果として中途半端な施策になってしまうとというところがあるんでしょうかね。
 
服部:だと思いますね。
 
杉浦:実際先生に取り上げていただいているこの『採用学』の中でも、何社か事例が出ていましたけども、正直バラバラですよね。
 
服部:バラバラですね(笑)。
 
杉浦:施策ですとか。じゃ、ここに何の共通点を見出したらいいんだという気もしますけども、逆にいえば、それで正しいということですよね。
 
服部:とことん突き詰めていった会社しか私紹介していないんですけど、そうなるとやっぱり、結局我が社はこれ、我が社はこれという形で個別化していくということに、多分それは結構普遍的なことなのかなと思いますね。なるべくしてそうなっているんじゃないかと思います。
 
杉浦:そうですよね。
 
【なぜ日本の採用は変わらないのか(06:48~)】

杉浦:やっぱり自社なりの優秀な人材の定義がそれぞれバラバラであれば、当然のことながら採用する形態ですとか、やり方ですとか考え方がバラバラになって当たり前だというのが、当たり前ではあるんだけれども、なぜできないんですかね。
 
服部:難しいですね(笑)。
 
杉浦:1つは、先ほど申し上げましたけど、企業における採用というものの位置づけということにも関係してくると思うんですけど、実は本で紹介している採用の革新、私、「採用のイノベーター」と呼んでいるんですけど、そのイノベーターたちに共通するところのもう1つのところとして、実は採用担当者が採用歴が長かったりとか、あるいは担当者としての歴は短いんだけども、上の人からしっかりと引き継いで、採用の共通点というのが共有されていたりと、要するに採用に関する知識がしっかりとしている会社が多いんですよ。他方で、じゃ、ほかの企業というか、多くの企業ばとうなっているかというと、採用担当者は、2年間採用担当者しますと。そうすると移動になってきます。現場に帰ります。じゃ、次新しい人が来ました。引き継ぎは。採用は毎年違うから、引き継ぎは最低限でいいよねと。知識が引き継がれてこないので、課題が先送りにすらならないというか。これは非常に大きなことだと思っていて、そもそも日本の採用というのは、特に大企業であればあるほど、ローテーション上の通り道として採用担当者という位置づけがあるので、すると、なかなか採用を変えるという機運にならないし、今までの採用を踏襲した方が無難ということにもなると思うので。1つ大きな構想としてあるかなと思いますね。
 
杉浦:そう考えると、会社の状況ですとか、人材という部分からすると、ごく一部の本当の入り口の部分だけでしかないじゃないですか。その入社後にどうなっていくのか。社内にどういう労働市場があって、その人たちがどう活躍して、どう動いていくのかということをちゃんと把握した上で採用をデザインしていかないと、いつまで経っても、採用は採用、入社後は入社後みたいな、何かずっとそれが続いているような気がしますね。
 
服部:本当にそうだと思います。
 
杉浦:なるほど。そのあたりを一貫してデザインする。結局、採用担当者がいかに考え、いかにその辺に沿った施策を打ち、社内をしっかりとマネジメントし、経営と握るか。何かこのあたりが1つのポイントになりそうですね。
 
服部:おっしゃるとおりだと思います。
 
【採用学の今後の研究課題(09:09~)】

杉浦:ちょっと最後に。服部先生の今後の活動について教えていただきたいなと思いますけど、採用学もいよいよ3年を迎えて、こういった形で本も書き、何か我々からすると、違うところにまた行ってしまうんではないのかなという心配も、これを出して一旦終わりということで、ちょっと心配しているんですけども、実際どうですか? そのあたり。
 
服部:そんなことはございませんで、まだまだ採用に関してやらなければいけないことはたくさんありまして、大きく私、2つの方向だと思っているんですけど、1つは、今回採用のイノベーターがいるということと、その人たちがどんな共通点を持っているかということが、何となくはわかってきたんですけど、ここはもう少し追いかけなきゃいけないかなと思っていて。というのも、最近、採用の新しい取り組みとかを本格的にしている企業があるかと思えば、新しいように見えるんだけど、実は新しい企業をまねしているだけだったりとか、ある意味亜流というか、模倣というか。こういうものがで始めているので、そういう意味では、ちょっと見えにくくなっているんですよね。ちょっと前までは、採用というのは大体同質的だったんですけど、新しいことそのものがちょっと流行化しているところがあるので、そう考えると、本当によいものを生み出している人の共通点は何かというと、もう少しここは洞察しなきゃいけないので、イノベーターたちを追いかけていかなければいけないというのは思っています。
もう1つは、今度はちょっとグローバルに目を転じたときに、日本企業の研究はし続けるんですが、例えば日本国内では圧倒的に強かった会社が、例えばアジアとかアメリカとかで人をとろうとすると、途端に学生たちの人気ランキングの下位にいってしまうと。こういうときに企業というのはどう対応していくのかなという。あるいはもうちょっというと、日本企業というのは、海外の学生からどう見られているのかなとか、日本企業の採用ブランドみたいなのをつくっていくとしたら、どういう方向性があるのかなという形で、海外に対して企業がどう対応すべきかという、この2つをちょっと追いかけていこうかなと思っています。
 
杉浦:まだまだ研究が続くということですね。
 
服部:そうですね。終わらないと思います。
 
杉浦:個人的にも安心しました。ありがとうございます(笑)。
 
服部:ありがとうございました。
 
杉浦:では、そろそろお時間になってまいりましたので、本日は横浜国立大学大学院准教授で採用学研究所のリーダーでもございます服部泰宏先生をゲストにお招きをいたしました。服部先生、本日はありがとうございました。
 
服部:ありがとうございました。
 
【動画フルバージョンはこちら】

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横浜国立大学大学院国際社会科学研究院/経営学部
准教授
服部泰宏さん

日本企業における「組織と人の関わり合い」、日本のビジネス界における「知識の普及」に関する研究などに従事。
2013年以降は、人材の採用に関する科学的アプローチである「採用学」の確立に向けた研究・教育活動に従事。
採用学研究所(http://saiyougaku.org/)の代表もつとめる。

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