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2018/02/07

採用のプロが語る、新卒採用の意味とは【前編】

新卒採用はコストか資産か

就業経験のない新卒を採用することは、企業の競争力にどのような影響を与えるのでしょうか。
名だたる大手企業の新卒採用支援を行ってきた樫原氏が語る、新卒採用の意味とは。

わかること

  • ・新卒採用の本質
  • ・近年の新卒採用マーケット
  • ・これからの新卒採用で大切なこと

ゲスト:株式会社リンクアンドモチベーション WESTカンパニー 執行役 カンパニー長 樫原洋平氏
聞き手:株式会社LeaGLO 代表 採用ブランディング・ディレクター 上田浩史氏

 


上田:皆さん、こんにちは。成長企業の採用支援をしています、LeaGLOの代表の上田と申します。私のコーナーでは採用において旬なゲストの方を毎回お迎えして、志のある採用のあり方というのを皆さんにお伝えしていきます。今回、記念すべき第1回目は、私が長年お世話になっております、株式会社リンクアンドモチベーション ウエストカンパニー執行役 カンパニー長の樫原洋平さんに来ていただきました。今日はよろしくお願いします。

 

樫原:よろしくお願いします。

 

上田:樫原さんとは私が前職、リンク&モチベーションに入社したときから、10年以上お世話になっています。私が今、採用の市場でいろいろお仕事をさせていただいてるんですけども、その中で日本一の志のある採用コンサルタントとして、尊敬している大先輩でございます。今回はそんな樫原さんをお迎えして三つのテーマで、いろいろお伺いできたらなと思いますのでお願いします。まず一つ目が採用の本質と採用哲学というものを、教えていただきたいなというのが1点目ですね。二つ目に関しては、今後の日本の企業の採用のあり方についてということです。三つ目は、今、具体的にさまざまな企業で樫原さん、大手企業さん、志ある企業様の採用のご支援をされていらっしゃると思うんですけども、具体的にどういったことを取り組まれてるのか、この3点を今日はお伺いできたらと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

 

樫原:はい、よろしくお願いします。

 

上田:簡単に樫原さん、自己紹介のほうをお願いできればと思います。

 

樫原:現在、株式会社リンク&モチベーションで働いています樫原と申します。今日は私の特徴で言うと、企業の現場でコンサルをしてると同時に、大学で非常勤で学生に触れてたりもしますので、そういう意味では抽象的なものというよりは、かなりリアリティのある今の最前線の話をたくさんしていきたいと思いますので、ぜひともよろしくお願いします。

 

【新卒採用の本質(2:16~)】

上田:お願いします。では、まず一つ目の。樫原さん、採用の本質と採用の哲学というとこなんですけど、結構いろいろこの数年、採用の市場であったりとか採用の方法っていうのが変化してると思うんですね。多様化してる中であらためて採用の本質っていうのはどういったものなのかっていうところと、樫原さんがまだまだ企業をサポートされていらっしゃる中で、採用の自分なりの哲学みたいなものを持っていらっしゃると思うので、そもあたりを熱く教えていただきたいなと。

 

樫原:採用と言われると新卒採用と中途採用とがありますが、今回は新卒採用ということなので、なぜ企業が新卒を採るのか、つまり能力もスキルも不十分な新卒を採るのかっていうところに、日本の採用の本質があると思うんですけど、一言で言うのであれば新卒採用っていうのは、未来適応行為であるということですね。

 

上田:なるほど。未来適応。

 

樫原:適応行為。つまり今の適応でよければ中途採用でいいわけで、それに関しては5年、10年成長していく姿ですね。そこに共感をしそういう若き人を育て、5年、10年後の未来に適応すると。つまり今よりもさらなる成長をしたいということが、まず企業が新卒採用する動機の部分ですので、ここがまずポイントの一つ目ですね。二つ目が同時に未来をかけた企業の戦いなんですね。新卒採用ってある意味ゼロサムのゲームなので、ある意味優秀な学生があるところに行くということは、ほかの競合においてリスクになるわけです。そういう意味では自社の未来をかけた、ある意味、全社一丸となった戦いなので、つまり優秀な学生を取り損ねるということは、自社にとって未来の競合をつくることになりますので、そういう意味では採用担当だけではなく全社をかけて、取り組んでいくというのがとても大事なポイントになるんじゃないかなと思います。

 

【人の価値の再認識(4:23~)】

上田:今、おっしゃっていた全社をかけてっていうところ、私も採用の手伝いをさせていただく中で、なかなか経営陣もいろいろ成長してる企業ほど、要は忙しくて人がさけないっていう中で、どうやって全社一丸となって採用に取り組んでいかれるのか、そういうふうに一つを仕掛けていくのかっていうのはポイントとかってございますか?

 

樫原:恐らく、経営資源で言うといわゆる人、物、金、情報というものがありますが、ある意味経営の中で人というものをどう捉えるかというところの、恐らく経営哲学が今、問われてるんじゃないかなって思ってまして、今の日本企業やベンチャーを見てても、今、勝っている会社っていうのは非常に人を大事にしています。例えばトヨタさんですね。ものづくりは人づくりであるというのが、ある意味伝統的な価値観としてあって、そういう人をしっかり採るっていうことがすべてであるということがありますので、そういう意味では非常に今、競争が激しい中で今、ソフト化の時代ですから、どういうようなサービスや事業をつくっていくかっていうところで言うと、それすべてやるのは人ですからそういう意味では人こそがすべてなんだと。人こそが最高の経営資源なんだということを、採用担当だけではなく、経営がそういう意識をいかに持てるか、もしくは採用担当の立場に立つのであれば、そういう意識を経営にいかに認めさせるかというところが大事なんじゃいかなというふうに思いますね。

 

上田:全社の、経営陣の皆さんが人を大事にしていらっしゃるって、結構いろいろインタビューする中で、そういうふうにお考えなんですけど、採用担当の方がそういう思いを持っててもなかなか上に、ある意味経営陣にあげていくであったりとか、その思いを伝えていくっていうのはなかなか難しい。要は仕事というか行動だと思うんですけど、それってどういうふうに人事の方々が、そういうふうに思っていたとしても、なかなか経営陣が聞いてくれないとかそういった場合ってどうすればいいんですかね?

 

樫原:難しいですよね。そこは。なので、一般的には採用、例えば経費をコストと見るのか投資と見るのかによってスタンスは分かれるんですよね。コストと見る会社はある意味1人あたり単価いくらとかですとか、いくらとれたかっていうようないわゆる価値換算をするんですけど、そういうような考え方っていうのはある意味、人を材料として扱うというか、ある種のリソースとして割り切ってるケースが多いんですけど、やっぱり勝ってる会社は、我々なんかで言うと、会社の中に人を入れるんじゃなくて人の中に会社に入れろっていうふうによく。

 

上田:よく言ってらっしゃいますよね。

 

樫原:我々なんかは言うんですけど、そういう意味ではいかによき人材を採ることがいい会社に繋がる、つまり新卒採用っていうのは未来をかけた投資なんだと。かつ新卒採用って面白いのはそこで関わった方々って、将来の消費者だったりもしくは自社に来なくてもビジネスパートナーになる可能性が高いんですね。そういう意味では自社に来るか来ないかもそうですけど、今、オープンイノベーションの時代なのである意味、会社を超えていろんなことをしていくっていうところで言うと、例えばその会社に行かなかったけど、あの会社よかったよねとか、あとご存じのとおり、リファラル採用というキーワードがありまして、口コミの起点がありますのでそういう意味ではその会社に行かなかったけど、あの会社いいよと言う人が増えることが、最終的にはその会社のブランドに繋がってきますので、ある意味新卒採用は、ある短期間における人の充足活動ではなくて、会社のブランドをつくる活動なんだというふうに、思えるかどうかっていうことも非常に大きいんじゃないかなと。ただ会社によっては採用経費だけじゃなくて、いわゆる会社のブランドですね。ブランディングの経費から一部採用費を充足してるような会社さんなんかも、実際にあったりはしますね。

 

【中途採用でリベンジするケース(8:39~)】

上田:なるほど。それこそ昔、私もそういう意味で言うと、それこそ樫原さんとかに学ばせていただいたと思うんですけど、その一つが今のお話でいくと、採用がファンづくりと。BtoBと特にBtoCの企業さんほど、採用は例えばエントリーが3000人、説明会も1000人来て10人しか採らなかったら、残り990人であったりとか2990人は、将来ファンになる可能性がありますよね。そこをどれだけそういうふうな意識を抽象的に見てやっていくかっていうところと、あとは先ほどリファラルとか口コミとかでいくと、行かなかったけど、最近多いですよね。行かなかったけどあのインターンすごいよかったとか、あの人事の方がよかったっていうふうな口コミで、広がっていくそこの採用のブランドづくりっていうことを。あとは一つ思うのが中途、新卒では行かなかったけども、中途採用でやっぱりあの会社って、結構最近そういうケースが多いなと思うんですけど、それはどうですかね?

 

樫原:本当、おっしゃるとおりでよくお客さんから聞くのは、例えばある会社を受けました。新卒採用のときに落ちました。でもその会社に憧れがあったので、数年後力をつけて来ましたという例はいくつか目撃を、そういう事例を会社さんにもお聞きしてますので、そういう意味では新卒採用でつくったブランドというものが、ある意味5年、10年の後にフィードバックがあるっていうことを、認識してる会社さんなんかありますので、そういう会社さんなんかやっぱり新卒採用、余念なくきっちりされてますよね。

 

【近年の新卒マーケット(10:21~)】

上田:先ほどコストというところの考えなんですけど、最近、この3年ぐらいで特に新卒でも今までなかった、新卒紹介っていう、ある意味1人あたりいくらみたいなことが、昔以上にあたりまえになってきてるなって思うんですけども、この流れであったりとかそれこそ最近、先ほどお話した多様化している中で、何か今の客観的に樫原さんが見られて、採用のマーケット全体で見られたときにはどういったことを今、お考えなんですかね?

 

樫原:この15年ぐらいの歴史の中で、端的に言えば量の時代から質の時代に変わってきたなって思ってるところがありまして、これまではそもそも何人採れたかっていう話とか、それこそ質の就業もいわゆる大学レベルみたいなものが多かったので、例えば旧帝大を何人採れたかということが、採用担当の評価に繋がっていたような時代があったんですけど、やはり今、外部環境が変わってましていろいろ変化をしていかなきゃいけないということで言うと、ただ新卒採用で数を充足するだけではなくて、どういう人が何人採れたかですね。我々なんかで言うと、こういうの、ポートフォリオ採用というふうによく申し上げるんですけど、一律一様に人を採るんではなくて会社の方向性の観点から、例えばセグメントA、セグメントB、セグメントC、それぞれ何人採れたかですね。特に自社のブランドから取りにくい層ってありまして、例えば化学系の会社さんで言うと、機械電気が取りにくかったりとか、比較的サービス業を営んでる非常に優しいようなイメージを持ってる会社で言うと、ガツガツ来たら採れなかったりとか、そういったものがありますので、そういう意味では会社の未来を考えた場合に、新卒一括採用っていうのはマスで捉えすのではなく、いくつかのセグメントに分けて、ポートフォリオごとにコースをつくっていって、人を採っていくという時代に変わってきてるなと、この3、4年特に感じますね。

 

上田:それこそ手法の部分ではなくて、その手法も結局なんのためか、誰を採っていくかっていうために手法を変えていくっていうことが大事ってことですよね。

 

樫原:だからなんでも新卒紹介にすればいいわけではなくて、結局どの層をそういった外部に頼り、どの層を自分たちでやるのかっていうことをしていかないと、逆に不要なコストばかり出てきますので、その辺の選択の集中度というものがポイントになってきますし、おっしゃるように、だからこそ誰を採るのかと。誰を採るのかどうなりたいか、だからどうなるのか、どういう人採るのかという議論で考えていかないと、こういった採用と経営が分断されてるケースって非常に多くて、最近。だから最近はトレンドで言うと、あらためて自分たちは誰を採るのかっていう、質の基準を再提起するような動きなんかも出てきてますね。

 

【これからの新卒採用で大事なこと(13:29~)】

上田:そこでいくと、樫原さん、誰にっていうところに、あともう一つ私が大事だなって思うことは、何を伝えるのか、そこに例えばクリエイティブとか手法の前に結局ここに間を接続する、要はメッセージであったりとかそういうキーワードとか、コンセプトが大事だと思うんですけどここはどうでしょうか?

 

樫原:これもよく我々なんかで申し上げてるんですけども、人が組織に入るときに大事にしてる四つの要素っていうのがありまして、一つ目がフィロソフィーですね。二つ目がプロフェッション。三つ目がピープル。四つ目がプリビレッジっていう。フィロソフィーは会社の理念ですね。プロフェッショナル、事業、仕事。ピープルが人や組織の魅力。四つ目が特権ですね。給与だったり教育制度と。最近の学生を見てますといわゆる誰と働くかとか、もしくは何がもらえるかっていうことを、重視してる学生が多いとされてますので、企業もそこに寄り添ってるんですね。ただ今の外部環境の激しい中でずっとその人と働けるかとか、その給料がもらえるかどうかって分からないじゃないですか。そういう意味では新卒採用の特質を考えるとどこに向かうかですね。もしくは何を大事にするのかっていうフィロソフィーですね。

 

上田:1番始めのところですね。

 

樫原:はい。私なんかは泥臭く、志採用と呼んでいることが多いんですけど、何を成すのかということを企業も伝えるし、学生にも問うということをしていかないと、即物的な、何がもらえるのということで共感しあって、いわゆるエンゲージしても長く続かないんじゃないかと。新卒が大事なのは会社がある意味苦しいとき、危機のときに踏ん張れる人なんで。そういう意味では会社も今の学生に迎合することなく、その会社が何を大事にしていてどこに向かうのかということを伝えるとともに、学生にもそれを問うということが日本の新卒採用を強くするためには、とても大事なんじゃないかなっていうことは思いますね。

 

上田:それをまさに昨年、樫原さんにも応援していただいたビジョンズラウンジとかっていうものを、私もつくったんですけどもまさにですよね。やっぱりスペックであったりとか大学ではない志っていうことを軸に、就職を軸にしていくっていうところでああいう場所をつくらせていただいて、今だからこそ、最近いろんな大手企業も、有名企業もいろんなニュースになってきてますけど、そこには何が足りないのかなって言うと、別に技術とかそういうものではなくて、日本人としての誇りであったりとかその志みたいなことは非常に大事になってるのかなと思いますけど。

 

樫原:我々もいわゆる入社後の成果が何を決めてるのかって、もちろんスキルもありますけどいわゆるモチベーションですね。その仕事に取り組む情熱のようなものが最終的には成果に非常に大きくフィードバックされることを考えると、欧米的なスキルマッチングも大事ですけど、いわゆるモチベーションですね。なんのためにやるのかっていうモチベーションエンジンが一致してるってことは非常に大事であり、非常に今、日本で新卒採用に力を入れてる会社さんっていうのは、そこに気づき始めてるんじゃないかなっていう。

 
【樫原氏の採用哲学(17:01~)】

上田・なるほど。ありがとうございます。その気づき始めている中で一言でいくと、そのあとの次、二つ目のテーマに移る前に一言で言うと、樫原さんの採用の哲学っていうものを言うと、どういったものになるんですかね?

 

樫原:採用っていうのは自社の未来をかけた戦いであると。この戦いに勝てるかどうかということが企業の未来を決めると、だから本気でやれっていうことですよね。

 

上田:そうですね。それ変わらないですよね。

 

樫原:本気でやろうと。それは流し仕事しちゃ駄目だよと。だから、私なんかよく人事部長なんかにお話するのは、だからこそ会社の本当のエースを新卒採用に入れてくださいと。それだって会社の戦略なんで、ある意味採用担当がちょっと意思がなかったり、オペレーティブに仕事をしてるような会社は、この会社未来において成長する気がないんだなっていうふうに思うことも多いですね。

 

上田:それこそ先ほどおっしゃった未来の戦いだからこそですよね。

 

樫原:はい。なので、最強の人を新卒採用のポジションに置きましょうと。

【中編に続く】

 

【動画フルバージョンはこちら】

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株式会社リンクアンドモチベーション
WESTカンパニー 執行役 カンパニー長
樫原洋平さん

一橋大学経済学部卒。2003年リンクアンドモチベーション入社以来、メガバンク、総合商社、グローバルメーカーなどの超大手企業の採用コンサルティングに、10年で100社以上従事。また、大学教育事業の立ち上げにも従事。2001年2月よりZ会、栄光とジョイントベンチャー「レイズアイ」(現リンク・アイ)の立ち上げに関わり、大学教育採用に対して新しい枠組み・仕組みを創出現在では早稲田大学・一橋大学・上智大学の非常勤講師を務める。2014年から執行役員兼西日本の採用事業の責任者に就任し、現在に至る。

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